開業して個人タクシー運転手になりたい人必見!

車を持っていて運転が好きな人のなかには、個人タクシーの開業を考えている人も多いのではないでしょうか。
土日だけ副業でタクシー運転士をしたり、退職後に始めようと思っていたりする人もいるかもしれません。

ところが、個人タクシー運転手は誰でも簡単になれるものではありません。どういうことなのでしょうか。

個人タクシー運転手になるための条件は甘くない!

個人タクシーになる主な方法は2通りあります。1つは新規に許可を取る新規取得であり、もう一つがすでに個人タクシーの免許を持っている事業者から譲渡を受ける譲渡譲受という方法です。

そもそも、タクシーには営業区域というものがあり、基本的に乗車地か降車地のどちらかが営業区域内になければなりません。法人タクシーの場合は会社の所在地、個人タクシーの場合は自宅の住所地によって営業区域が決まってくる仕組みです。

新規取得の場合は、営業区域内で実施される試験に合格しなくてはなりません。一方、譲渡譲受では個人タクシーの免許を持っている人と譲り受ける人が譲渡譲受契約を結んだうえで、営業対象区域の地方運輸局に譲渡譲受認可申請を提出する流れとなります。

問題は個人タクシー運転手になるための条件が大変厳しいことにあります。そのため、誰でもなれないのです。その条件の基本的なポイントとしては下記の3点があるでしょう。
1.申請日時点で年齢が65歳未満
2.第二種運転免許書(普通免許または大型免許)を保有している
3.申請日以前の3年間が無事故無違反

これに加えて、申請する営業区域内で実務に携わった経験があるかどうかが問われます。次の段落で詳しくみていきましょう。

経験年数がカギを握る?個人タクシーの開業要件とは!

個人タクシーを開業するためには、タクシー運転手としての経験年数がカギとなってきます。タクシー運転手として一度もタクシー会社に勤務したことのない人がいきなり開業することはできないのです。

その経験年数や条件は、申請を行う時点の年齢によって変わってきます。35歳未満の人が開業するためには、下記の条件をすべて満たす必要があります。
1.申請する営業区域で、継続して10年以上同じタクシーまたはハイヤーの会社に雇用されていた
2.申請日以前の10年間が無事故無違反

次に、35歳以上40歳未満の場合は、下記の2つの条件をすべて満たさなくてはなりません。ただし、申請日以前の10年間が無事故無違反だった場合は、40歳以上65歳未満の要件を満たせば問題ありません。
1.申請する営業区域において、自動車運転を専門とする職業についていた期間が10年以上あり(一般旅客自動車運送事業用自動車以外の場合は期間を50%に換算)、かつタクシーかハイヤーの運転を職業としていた期間が5年以上ある
2.申請する営業区域において、タクシーかハイヤーの運転を職業としていた期間が継続して3年以上ある

最後に、年齢が40歳以上65歳未満の場合についてです。この場合も、下記の2つの条件をすべて満たさなくてはなりません。
1.申請日以前の25年間のうち、自動車運転を専門とする職業についていた期間が10年以上ある(一般旅客自動車運送事業用自動車以外の場合は期間を50%に換算)
2.申請する営業区域において、申請日以前の3年以内に2年以上タクシーかハイヤーの運転を職業としていた

また、個人タクシーの開業には一般的に200万円程度の資金が必要です。用意すべき資金としては下記のようなものがあります。
1.設備資金として原則的に70万円以上
2.運転資金として原則的に70万円以上
3.自動車の車庫を確保するのに必要な資金
4.各種保険料の年額

個人タクシーとタクシー会社に就職した場合のメリットとデメリットを知ろう!

ここでは、個人タクシーのメリットやデメリット、タクシー会社に就職するメリットについてみていきましょう。タクシー会社に勤務する場合の給料は固定給+歩合給という形式になるのが一般的で、会社によっても大きく違います。しかし、働いた分すべてが自分の収入にならないのは同じです。個人タクシーの場合、稼ぎがすべて自分の収入になるのに加え、勤務時間や勤務日も自分で決められます。自由度の高さが一番の個人タクシーメリットといえるでしょう。

とはいえ、個人タクシーでは自動車のメンテナンスや確定申告等の事務手続きを自分で行わなくてはなりません。クレームや事故が起こっても自己責任で対処する必要があります。ホテルや病院のタクシー乗り場は特定のタクシー会社と契約を結んでいるケースも多いため、自力で顧客を開拓することも求められるでしょう。

一方、タクシー会社就職メリットとしては、運転以外のさまざまな雑事をすべて会社に任せられることがあります。退職金や福祉の面でもメリットが大きいでしょう。接客について会社から随時教育や指導を受けられるため、適切なマナーが習得できるのも見逃せません。

個人タクシーを目指すならタクシー会社に就職した方が良い?

この記事では、資金や試験をクリアすれば個人タクシーが開業できるわけではないことをみてきました。開業をするにはタクシー会社での勤務経験が不可欠なので、まずはタクシー会社に就職した方が良いのです。

就職するタクシー会社を選ぶときは、営業区域に注意しなくてはなりません。たとえば、将来的に東京23区で営業する予定であれば、東京23区内に住所地を確保しておかなくてはならないのです。また、資金の用意も欠かせません。忘れてならないのが無事故無違反の条件です。ほかの条件がクリアできても、法令遵守の面でキズがつくと取り返しがつかない事態にもなりかねません。

タクシー運転手は、人の命を預かる責任の重い仕事ですが、非常にやりがいのある仕事ともいえるでしょう。公共交通機関が撤退した地域では、交通弱者の生活を支える存在にもなっているのです。個人タクシーなら、自分の理想とするサービスを提供することも可能です。経験年数がカギを握る個人タクシーの開業要件を踏まえると、若い時期から個人タクシー開業を視野に入れるのがよい方法です。長期的かつ綿密な計画を立てて、少しずつ準備していくことが求められるでしょう。

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