2年越しのありがとう
私と母は、病院や買い物へ行くなど外出する際に、ほとんどタクシーを利用しています。
なぜかというと、家の近くには電車もバスも走っているのですが、母がここ数年足に病気を患ってから、また私自身も、行動があまり機敏ではないため、どうしてもタクシーに頼ってしまいます。
そして私と母がタクシーを乗り降りするときには、いつも私が母を介助して乗っています。
タクシー運転手さんにはいろいろな方がいらっしゃいますが、最近では私と一緒になって母の手をひいて介助してくださる優しい運転手さんもいて、本当に助かっています。
ただ、私の自宅は道路から玄関までが急な上り坂になっており、タクシーを降りた後がまたきついのです。
急な上り坂をゆっくりのぼらなくてはなりません。
そんな私と母が、先日とても素晴らしい運転手さんに出会いました。
母がタクシーから降りるのを一緒にお手伝いしてくださったその運転手さんに、お礼を伝え、自宅へ向かおうとしたところ 「よろしかったら、どうぞ」 と母をおんぶしようとして身をかがめてくれていました。
タクシーの運転手さんにそのようなことまで・・・・・ と思ったのですが、運転手さんからの「どうぞどうぞ」というお言葉に甘えて、おんぶしてもらうことにしました。
上り坂でタクシー運転手さんも大変だったとは思いますが、いつも私たちが「大変だねぇ」といいながら二人でゆっくりゆっくりのぼっていく坂道がこのときはあっという間に感じました。
本当にありがたかったです。
感謝の気持ちでいっぱいでした。
家について、母も私もいつもよりも時間がかからず、帰宅できて本当に助かりました。
嬉しかったことをあとで、お礼の電話でもしようと思ったのですが、肝心の名前を聞き忘れてしまっていました。
月日が流れ、それから2年たったある日のことです。
偶然にも私が、あの時のタクシーの運転手さんに乗り合わせたのです。
2年も経過していたし、お客様商売ですから、忘れているかもしれないと不安を思ったのですが
「あの時母をおぶってくれた運転手さんですよね。あの時は本当にありがとうございました。」
そう声をかけてしまっていました。
「覚えていてくださったなんて!こちらこそ本当にありがとうございます。」
運転手さんはとてもびっくりしていましたが、笑顔で答えてくださいました。
また会えて本当にうれしかったです。
今度はちゃんと名前を覚えましたので、指名して乗せていただいています。