介護タクシーの貴重な体験
私は5年近くも介護タクシーサービス(ケアドライバー)をしています。
ケアドライバーはタクシー乗務員と違い、ただ目的地へ送るだけではなく、お客様の介助をしたり、お客様に付き添って手助けをしたりします。
私はこの仕事にとても誇りを持っています。
安心と信頼を得るサービスができるよう心がけて仕事をしています。
とてもやりがいがある仕事で、あっという間に5年が経ってしまいました。
しかし、仕事上悲しい出来事も多かったりします。
要介護者の方の対応があると、そのような思い出も増えていきます。
弊社を利用されるお客様は割と常連客の方が多いので、しばらくご利用がないともしかしたら亡くなってしまったのかな・・
と思うこともたくさんあります。
そのような心配で心を痛めることは多々ありました。
常連客の方や、一度お目にかかり介助に携わった方などが亡くなってしまうと、わたしもとても悲しい気持ちになります。
まるで自分の家族を失ってしまったかのようでした。
社内の会議で「ある常連客の方の利用がなくなったね。」というような話がでてきました。
この時に私はその方になにもなければいいな。と祈るような思いでした。
この方は病気の後遺症で歩行が困難で、なおかつ病気の再発がいつあってもおかしくないような状況でした。
この方の場合の介護はいつも、自宅のベッドから車椅子への移動をして、スロープを利用して介護タクシーに乗車するような流れでした。
だいたい週に一度は通院のため、介護タクシーを利用していましたので不安が募りました。
もしかしたら、再発をしてしまって入院でもしているのかと。。。
半年ほど経過してから、私はいつものようにお客様を病院に送っていました。
その病院はあの常連客の方が通院していた病院でした。
お客様の介助を終えて、病院を出ようとしたときに
「タクシーの運転手さん!」と大きな声が聞こえました。
そこには常連客の方のご家族の方が手を振ってくれていました。
すると、あのお客さんが自分の足で立っていたのです。
介助が必要で車椅子が必要な方だったのに・・・
私はとてもびっくりしましたが、感激がこみ上げてきました。
笑いながらこちらへ近づいてきて
「また今までの仕事ができそうです!ここまで頑張ってこれたのも運転手さんが励ましてくれたおかげです。」
と言ってくれていました。
私は素直に喜び、感動し、気が付いたら涙を流していました。
これまで介護タクシーを利用しなかったのはリハビリをしていたからだそうです。
その話を聞きながら、家族と一緒にまた泣きました。
「介護タクシーをやっていて本当に良かった!」
と心底思い、これほどにもない喜びを感じることができました。
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