タクシー運転手になるために必要な資格とは?二種免許の取得方法を徹底解説!
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タクシー運転手になるために「二種免許が必要」ということを知っている人は多いと思いますが、二種免許をどのようにして取るのか、どんな試験があるのかについては、よく分かっていない人もいるのではないでしょうか。
本記事では、タクシー運転手になるために必要な資格や、二種免許および地理試験の概要などを解説します。これからタクシー運転手を目指す人は、ぜひ本記事を参考にして、免許取得に向けて取り組んでみてください。
タクシー運転手になるために必要な資格
タクシー運転手になるために必要な資格は下記のとおりです。
- 二種免許
- 地理試験
それぞれ順番に解説します。
二種免許
タクシー運転手になるためには、二種免許(普通自動車第二種運転免許)が必要です。理由は、タクシーのような、お客様を乗せて送迎を行う業務の場合、一般的な一種免許と比べて、高度な運転技術と知識が要求されるからです。
乗客の指示による急な方向転換などに対応できるスキルや、お客様の生命を預かる責任が求められるなど、より安全な運転ができるスキルを持っていることが必要とされます。
地理試験
地理試験とは、東京都、神奈川県、大阪府などの一部地域でタクシー運転手として業務を行う場合に必要な試験です。
営業エリアの主要道路や主要施設といった、その地域の地理全般について問われる試験です。大都市の場合、道路や施設の数が多いため、通常の地域と比べて、より地理に詳しくないと、お客様を目的地まで送迎するのが困難です。
そのため、業務遂行に必要な、そのエリアの地理に関する知識を持っているかどうかが問われます。
二種免許の概要
次に、二種免許における以下の概要について解説します。
- 二種免許の種類
- 受験資格
- 学科試験
- 技能試験
- 必要な講習
- 金額
それぞれ順番に解説しますので、これからタクシー運転手になろうと考えている人は、二種免許の概要を掴んでください。
二種免許の種類
二種免許には、運転する車の乗車定員、最大積載量、車両総重量などにより、一種免許と同じように以下の種類があります。
- 普通第二種運転免許(普通自動車第二種運転免許)
- 中型第二種運転免許(中型自動車第二種運転免許)
- 大型第二種運転免許(大型自動車第二種運転免許)
- 大型特殊第二種運転免許(大型特殊自動車第二種免許)
- 牽引第二種運転免許(牽引自動車第二種運転免許)
タクシー運転手に必要な免許は「普通第二種免許」ですが、バスの運転手などの場合は「中型第二種運転免許」「大型第二種運転免許」が必要です。
「大型特殊第二種運転免許」「牽引第二種運転免許」については、免許制度はあるものの、旅客目的で使用されるケースが滅多になく、実際はほぼ実用性のない免許となっています。
受験資格
普通第二種免許の受験資格は、基本的に以下2つの条件すべてを満たしている必要があります。
- 21歳以上であること
- 第一種免許を受けていた期間が、通算して3年以上あること
ただし、令和4年5月13日より、第二種運転免許等の受験資格の見直しが行われ、以下の3つの条件すべてを満たしている場合でも、受験資格が与えられるようになりました。
- 19歳以上であること
- 普通免許等を受けていた期間が通算して1年以上あること
- 受験資格特例講習を修了していること
(参考:警察庁ー第二種免許等の受験資格の見直しについて(令和4年5月13日))
この受験資格特例教習を受けて第二種運転免許を取得した場合は、本来の取得年齢(普通第二種運転免許は21歳)までの期間は「若年運転者期間」とされ、違反行為に対する点数が3点以上になると、「若年運転者講習」を受けなければなりません。
受験資格特例教習の詳細については、各都道府県警察の窓口へお問い合わせください。
(参考:警察庁ー受験資格特例教習に関する問合せ窓口一覧表)
学科試験
二種免許を取得するためには、必ず学科試験および適性試験を受験します。学科試験の内容は以下のとおりです。
- 文章問題が90問、イラスト問題が5問の、合計95問
- 文章問題は1問1点、イラスト問題は1問2点
- イラスト問題は1つのイラストにつき3問出題され、すべて正解である場合のみ配点される
- 合格点は90点以上
(参考:神奈川県警察ー大型二種・中型二種・普通二種免許(指定校卒業)の試験手続について)
また、すでに他の二種免許を取得している場合は、学科試験は免除されます。そして、適性試験の内容は以下のとおりです。
- 視力の合格基準:両眼で0.8以上、かつ、一眼がそれぞれ0.5以上であること
- 深視力の合格基準:三棹(さんかん)法の奥行知覚検査器により2.5メートルの距離で3回検査し、その平均誤差が2センチメートル以下であること
- 色彩識別能力の合格基準:赤色、青色及び黄色の識別ができること
- 聴力の合格基準:両耳の聴力(補聴器により補われた聴力を含む)が10メートルの距離で90デシベルの警音器の音が聞こえること
技能試験
二種免許を取得する場合、都道府県が指定する「指定自動車教習所」を卒業していない人は、技能試験の受験も必要です。いわゆる「一発試験」で合格しようとする場合です。
技能試験の内容は、兵庫県の例で以下のとおりですが、概ねどの都道府県でも同様の内容です。
- 路上試験
- 場内試験
- 各免許種別ごとの課題
「各免許種別ごとの課題」については、普通自動車第二種免許の場合、路上と場内で、それぞれ以下の項目をテストされます。
<路上>
- 人の乗降のための停車及び発進(直前合図による停車)2回
- 人の乗降のための停車及び発進(駐停車禁止場所付近における停車)1回
- 人の乗降のための停車及び発進(指定場所による停車)1回
- 転回
<場内>
- 方向変換又は縦列駐車
- 鋭角コースの走行
お客様を車に乗せて安全に運転できる技能があるか、プロドライバーとして模範となる運転技能があるかを試されます。
必要な講習
指定自動車教習所を卒業せずに、二種免許に合格した人は「取得時講習」として、以下2つの講習を受ける必要があります。
- 旅客車講習
- 応急救護処置講習
「旅客車講習」では、危険を予測した運転、夜間の運転、悪条件下での運転等に必要な技能と知識に関する講習を受けます。
ただし、すでに他の二種免許を取得されている人は講習は免除となります。
「応急救護処置講習」は、各種外傷、熱傷等への対応等、第一種免許にかかる応急救護措置より内容が拡大された内容に関する講習を受けます。
こちらも、すでに他の二種免許を取得されている人や、医師・歯科医師等応急救護処置講習の知識を得ていることが証明できる人は講習が免除となります。
金額
二種免許取得にかかる金額は、以下の3パターンによって変わってきます。
- 指定自動車教習所に通って取得する場合
- 自力で学科試験と技能試験を受ける場合
- タクシー会社へ入社後に取得する場合
1.の場合は、約250,000円の費用がかかります。
2.の場合は、受験にかかる費用のみがかかり、東京都の例では、手数料9,700円と、取得時講習受講料27,000円がかかります。
(参考:警視庁ー二種免許試験ー大型二種・中型二種・普通二種免許試験(直接試験場で受験される方))
3.の場合は、二種免許取得にかかる費用をタクシー会社が負担してくれるため、費用はかかりませんが、免許取得までは給料が低かったり、免許取得前に辞めると違約金がかかったりと、タクシー会社によって条件が異なります。
地理試験の概要
東京都、神奈川県、大阪府の一部でタクシー運転手として働くためには、地理試験の受験が必要になります。ここでは、地理試験に関して、以下の概要を解説します。
- 出題内容
- 対策のポイント
それぞれ順番に解説します。
出題内容
地理試験の出題内容は、大きく以下2つの科目に分けられます。
- タクシー事業に係る法令、安全及び接遇
- 当該指定地域に係る地理
1.は45問出題され、36問以上(80%以上)で合格、2.は40問出題され、32問以上(80%以上)で合格となります。
タクシー業務で「空車」を表示しているときの乗客への対応について答えたり、指定する乗車地から降車地までの最短経路を選んだりといった内容が出題されます。
(参考:公益財団法人東京タクシーセンター)
対策のポイント
地理試験対策の主なポイントは以下のとおりです。
- とにかく問題集や過去問を解いて勉強する
- さまざまな地図を読んで見慣れておく
- 合格まであきらめないこと
地理試験の問題集や過去問は、東京都、神奈川県、大阪府の各タクシーセンターで販売されています。
問題集や過去問を解き、とにかく暗記することがポイントです。また、実際の試験では地図を使った問題も出題されます。
日頃からさまざまな地図を読んでおくと、試験対策になるだけでなく、実際のタクシー運転手の業務でも役立ちます。どこに何があるか、興味を持って地図が読めるようになるとよいです。
最後に、「合格まであきらめないこと」が大切です。地理試験の合格率は約50%と言われており、合格できるまで数回受験する人も普通にいます。また、試験も頻繁に行われているので、すぐに再受験できます。
もしタクシー運転手を目指すのであれば、合格できるまであきらめずに取り組むことがポイントです。
まとめ
本記事では、タクシー運転手になるために必要な資格や、二種免許や地理試験の概要などを解説しました。
タクシー運転手になるためには、普通自動車第二種免許の取得が必須です。
二種免許は、お客様を乗せて安全に目的地まで送迎するための知識と技術を持っていることの証明となります。
二種免許を取得するためには、学科試験・適性試験・技能試験・取得時講習・地理試験(東京都・神奈川県・大阪府の一部)など、受けるべき試験がいくつかあります。
これからタクシー運転手を目指す人は、これらの試験があることを理解して、それぞれの試験対策をしていきましょう。